カトマンズで原因不明の病気にかかり、生死の境をさまよった

若い人も、世界に出ることでいろいろ学んでほしいですね。私は20代のころドイツに留学して、そこから世界をめぐる旅に出ました。ドイツは当時から先進国です。列車に乗って東欧に行くと、風景が少しずつ寂しくなり、国力が落ちていく様子が肌で感じられました。ロシアに行ったときも驚きでした。そのころはソ連という国で、アメリカと肩を並べて二大強国と言われていました。しかし、実際に訪れてみると、えらく貧しい。これはおかしいなと思ったら、まもなくソ連は解体されました。

国が発展したり、廃れたりしていく様子を直接見る経験を重ねると、大局をつかむことができるようになります。大局がわかれば、ビジネスでの先見性にもつながっていく。私が格安航空券で起業したのも、旅を通じて時代の流れをつかんでいたからこそです。

旅には、忍耐力や継続力を高める効果もあります。中東からイラン、アフガニスタン、パキスタン、インド、ネパールと旅したときは、肉体的にも精神的にもきつかった。カトマンズで原因不明の病気にかかり、生死の境をさまよったこともあります。

でも、極限まで追い込まれたことで強くなれました。起業後はさまざまな逆境を経験しましたが、「カトマンズでの経験に比べればたいしたことではない。ビジネスで失敗しても命までは取られないのだから」と前向きに考えられる。これも旅のおかげです。

▼QUESTION
1 生年月日、出生地

1951年2月4日、大阪府大阪市
2 出身高校
大阪市立生野工業高校
3 座右の銘、好きな言葉
自然の摂理を大事にすべし
4 座右の書
『運命を拓く』中村天風
5 尊敬する人
安岡正篤
6 私の健康法
医食同源
澤田秀雄(さわだ・ひでお)
H.I.S. 会長兼社長
1980年、インターナショナルツアーズ(現H.I.S.)設立。96年、スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)設立。2010年、ハウステンボスの代表取締役社長に就任。16年にはH.I.S.社長に復帰、17年より現職
(構成=村上 敬 撮影=的野弘路)
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