「お金で片付けよう」という発想の落とし穴

金銭的な価値観が偏重されると、「お金で片付けよう」という意識が強くなる。しかし、それでうまく収まることもあれば、かえって悪い結果がもたらされることもある。

学校や会社などの共同体で実施した行動経済学の実験を見てみよう。この実験では、ちょっとした手助けを頼む対価として3つの条件を用意した。「お礼にお金を渡すから」と頼むか、「チョコレートをあげるから」と頼むか、「とにかく困っているからお願いします」と何も渡さないか。それぞれのケースで作業効率を調べたところ、最も作業効率が高かったのが「何も渡さない」で、次点が「チョコレート」、最悪なのが「お金」で頼んだ場合だった。

「これは人間に備わっている共同体原理のせいではないかと考えられます。『お互い様』で助け合うことで共同体は維持されるのですが、そこにお金を持ち込むと、市場原理の世界に変わってしまい、共同体という意識が吹っ飛んでしまうのです」(同)

友野教授は、同じ理由から、企業での安易な成果主義導入にも懐疑的だ。チーム単位で仕事をすることが多い企業においては、そこで生まれる共同体としての意識をうまく刺激したほうが高いパフォーマンスを発揮する可能性があるのだ。

▼なぜ「高収入=高満足」にならないか
Q 稼げるだけ稼ぐのがいい?
○:金持ちは幸せに違いない。お金の心配はないし、自由がある
×:幸福や満足は所得の絶対額ではなく、他人との比較によって得られる
Q 欲しいものを買うことが満足につながる?
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