15兆円超といわれる日本のEC(電子商取引)市場の中で、覇権を争うアマゾンと楽天。今後も拡大を続けていくであろうEC市場のトップに立ち、覇者となるのはどちらか。「プレジデント」誌(2018年6月4日号)は調査会社「エモーションテック」と協力して、アマゾン・楽天ユーザー2388人にアンケートを取り、ECサイトの最新事情に詳しいフリーライターの山野祐介氏にデータの分析と今後の展望を予想してもらった――。
楽天とアマゾン、ユーザーはどっちに愛着感じるか
今回の調査では、男性の67%、女性の50%が楽天よりアマゾンのほうが好きだと回答しました。男性ユーザーは商品説明が簡素なアマゾンを好み、女性ユーザーでは、楽天が主軸とするポイントサービスに家計のやりくりなどにシビアな主婦層が反応しているとも考えられます。
またアンケートの中で、最も顕著な差が表れたのは、各サービスが提供する有料会員の加入率です。アマゾンをメインに使うユーザーの37%がプライム会員だったのに対し、楽天をメインに使うユーザーのうち13%だけがプレミアム会員という結果が出ました。
楽天・アマゾンともに有料会員の年会費は3900円(税込み)ですが、アマゾンのプライム会員はアマゾン発送の商品であれば送料無料となり、地域限定なものの1時間以内に商品が到着する“プライム ナウ”などが利用できるメリットがあるほか、動画や音楽の見放題、聴き放題サービスも利用できます。対する楽天は、かかった送料がポイント還元されるサービスが目玉。そのほか、楽天TVや楽天トラベル、楽天ブックスといったサービスで付与されるポイントが2倍になるメリットもあり、楽天がポイントを主軸としていることが読み取れます。
しかし、送料にユーザーがいくら支払っているかといえば、送料がポイント還元される楽天よりも送料が無料となるアマゾンのほうが優れていることになります。そのうえ、アマゾンのほうが無料で付帯するサービスも多く、有料会員の分野ではアマゾンに軍配が上がるでしょう。
逆に、差がつかなかった項目としては「アマゾンで検索をして楽天で購入したことがありますか?」という設問。アマゾンユーザーも楽天ユーザーも約3分の2がアマゾンで検索をかけて目当ての商品を見つけ、楽天で購入する、という経験をしているようです。なぜユーザーはわざわざ2つのサイトを横断して購入するのでしょうか。こういった点を読み解くため重要になってくるのが、NPS(ネット・プロモーター・スコア)という数値です。