(1)構成要素別の収益性を分析する

まず、どこで実際に利益を生み、どこで損をしているのかをより明確に把握することから始めよう。この作業は簡単にはいかないことがある。多面的な組織には得てして、事業や地域にまたがる一貫性のある情報やシステムが欠けているからだ。そうした事業や地域の「共有コスト」──特定の構成要素に直接かかったものとはみなせないコスト──が、全体のコスト構造の大きな割合を占めている。収益性分析は一般に、事業ラインやブランドによって、あるいは製品や顧客によって利益に大きな開きがあることを暴き出す。

その典型例といえるのは、ある消費財メーカーで、ここでは仮にコンソリデイティッド社(C社)と呼んでおこう。C社のマネジャーは、長年の大口顧客であるマクガフィン社(M社)をその地域の2大重要顧客の1つとみなしていた。

しかし、C社にとって価格設定は不利だったし、M社への販売にともなう複雑さは、この顧客のために特別に設けられた30近いSKU(在庫管理単位=品目)のせいで目もくらむほどだった。C社はこれらの製品を4工場を使って生産しており、すべての工場の注文を集約するために、もっぱらM社のために「ミキシング・センター」を設けていた。そのコストはM社にかかる経費として計上されておらず、この地域のすべての顧客に割り振られていた。

M社との取引にかかわる真実原価の影響をフロントエンドの販売からバックエンドの業務まで分析したマネジャーらは、M社が年間500万ドルの売り上げを生んでいるものの、利益を70万ドル引き下げていることを理解した。

C社のマネジャーたちはM社に状況を説明し、コストを下げ、価値を付加する共通の基盤を見つけようとした。その結果、C社はM社の品目数を60%減らし、一部の製品の価格を引き上げるとともに他の販売条件を改定した。

C社の状況は、価格設定や個々の構成要素の選定に関する決定は粗利益に基づいてなされるべきではないこと──つまり、インフラは固定費であり、既存の過剰設備は基本的にタダと想定すべきではないこと──を示している。