「世界王者が使う豆」を提供する会社

冒頭のイベント名の「90+」は「ナインティプラス」と読む。コーヒーの品質にこだわる米国の会社(とブランド)名だ。味と香りに特化した90+の商品は、世界で高く評価されている。創業者のジョセフ・ブロンスキー氏は、ゲイシャ品種に魅せられてエチオピアとパナマで自社農園を持ち、徹底してこだわったゲイシャ豆を生産する。

「世界各地のコーヒー品評会に出品された豆の評価基準では、80点越えが『スペシャルティコーヒー』と呼ばれますが、90点越えの点数がつくコーヒーにはなかなか出合えません。それを社名やブランド名につけるところに、この会社のこだわりがあります」

国際審査員でもあるサザコーヒー代表取締役・鈴木太郎氏はこう説明する。同氏は、業界関係者の団体「日本スペシャルティコーヒー協会」(SCAJ)理事で、同協会内の「コーヒーブリュワーズ委員会」委員長も務める。サザコーヒーの活動では長年世界各地の生産国を回り、良質のコーヒーを買い続けてきた。ブロンスキー氏とも親交がある。

最高級コーヒー豆でいれる1杯の値段

今回のイベントでは、2018年正月早々に鈴木氏らがパナマに出張し、買い付けた最新のベスト90+の「ゲイシャ」や、2017年に2つの世界大会で優勝したバリスタや、日本大会2位のバリスタが使用した「パナマ・ゲイシャ No227」というコーヒー豆が提供された。サザコーヒーエキュート品川店では、「No227」を1杯7500円(税込)で販売する。

こちらは1杯3000円のコーヒー(著者撮影)

2014年のWBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)で、日本人を世界王者に導いた阪本義治氏(バリスタトレーナー。act coffee planning代表)は「ゲイシャ」についてこう解説する。

「いま、国内外のコーヒー競技会(バリスタの競技会、ドリップやサイフォンを用いた競技会)で、ゲイシャ品種以外を用いた優勝者はほとんどいません。花や香水のような独特の香りを持ち、上質な柑橘系の酸味があるゲイシャは競技会のほか、世界中の品評会でも、最も注目のコーヒーとして評価されています」