苦い思い出、市立桜宮高校の体罰自殺事件

これまでに相撲界だけではなくスポーツのさまざまな分野で体罰問題、暴力問題が発生している。そんな中、当時大きなニュースになってしまった大阪市立桜宮高校の体罰自殺事件(2012年)がある。この事件は当時市長だった僕にも大きな責任がある。今も思い出すと申し訳ない気持ちで一杯だ。

桜宮高校は公立高校だけどスポーツ、特にクラブ活動に力を入れていて、全国大会に出場する強豪クラブがいつくもある。そのうちの一つが事件が発生したバスケットボールクラブ。

ここではクラブ顧問の指導が度を過ぎ、完全な暴力になっていた。気合が抜けているということなどを理由に、顧問はキャプテンをかなりの程度で連発ビンタし、そのようなことが常態化していた。

そして取り返しのつかない悲劇が生じてしまった。そのキャプテンが顧問の指導に抗議の意を込めて自殺したんだ。

僕は自分の上の子供たちにしつけ名目で手を上げていたし、自分のクラブ活動の実体験からも多少の暴力的指導は必要だと思っていた。また自分が通っていた中学校も結構やんちゃな子供が多かった学校なので、暴力的指導の必要性を感じていた。

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ただし、以上はあくまでも教室指導、生活指導の話。ここで問題にしているスポーツ指導においては、暴力的指導には何の合理性もない。教室現場においては他の生徒に迷惑をかけることを防ぐという理由には一定合理性があるが、スポーツにおいては勝つため、気合を入れるためということが理由だからだ。

チームスポーツで他のメンバーに迷惑がかかるというのであれば、試合に出さないか退部させればいいだけ。まさに教室指導における隔離措置と同じような対処方法がクラブ活動には保障されている。また個人スポーツの場合には、勝つか負けるかは結局は生徒個人の名誉にかかわることだから、気合が抜けていようが、試合に負けようが顧問が暴力的指導を使ってまでやっきになる必要はないはずだ。

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