10月の総選挙では、立憲民主党がネットの拡散力を活かして支持を増やした。今後の選挙でもネットの活用はこれまで以上に進んで行くと予想される。各党はこれまでどれだけネット選挙に取り組み、これからどう展開させていくつもりなのか。ネット選挙コンサルタントの高橋茂氏は、「ネットでは『若者の感覚』がより重要になる」とみる。その理由とは――。

民進党のネット戦略はかくもダメ

前回記事では、今回選挙で立憲民主党が躍進した理由を分析した。今回は、他の政党のネット戦略について、より詳しく見て行くとともに、ネット選挙戦略の今後についても考えてみたい。

前回触れたとおり、今までの選挙を振り返ると、インターネットでの総合的な発信力は自民党がダントツで1位だった。発信の質の高さで自民党に続くのは共産党。公明党は支持母体である創価学会を主とする登録者数で共産党を上回り、発信力を広げようとしている。

ダメなのが、野党第一党だった民進党(旧民主党)。日頃の発信はほぼ無く、選挙になってから大手広告代理店に一任。選挙が終わればなかったことになっていた。これが、民進党のネット戦略最大の反省点。そして、有権者の支持を得られなかった一因と言える。この民進党の「失敗」には、学ぶべき点が多い。

ネットに限らない民進党の弱点

政治ジャーナリストや記者、政党のネット戦略に関わる人間であれば、だれもが理解し、指摘していることなのだが、民進党の歴代幹部にはネットを理解できる人がいなかった。これがネット戦略が遅れた最大の原因だろう。代表経験者の中には、ネット上での自らへのバッシングに怒り、ネットそのものに拒否反応を起こす人もいた。前原誠司前代表も例外ではない。彼はネット音痴だ。

念のために言及しておくと、大塚耕平・新代表は党の広報を長く務めており、ネット戦略にも理解がある。これまでに比べればまだ期待できそうだが、すでに党自体の体力が弱りきっている。

話を戻そう。民主党政権時代、「ネット選挙解禁」は社会的なテーマだった。ネット音痴とは言え、幹部たちはネットでの発信を強化する方針を出さざるをえない。しかし、いくら方針を出しても、実働部隊が動かないため、何もやっていないことと同じになっていた。ようはチームが作れないのだ。また、批判を恐れるあまり、無難な発信を地味にやるだけで、結果として話題にすらならない、ということもざらにあった。こういった打つ手の不味さは、ネットだけに限らない、民進党の弱点だった。