急ごしらえで、プロが付いていなかったのかもしれない。しかし、それであっても共産党のように、逆に手作り感を武器にするくらいのしたたかさを見せてもらいたかった。あらゆる意味で、期待を裏切った政党だといえるだろう。

立憲民主党躍進から考える今後のネット戦略

希望の党がお粗末な姿を見せる一方、立憲民主党の活動は際立っていた(前回参照)。ツイッターのフォロワー数も、1位だった自民党を抜いて19万人を突破。今回の選挙結果を受けて、これからの選挙では、ますますネットでの「発信力」が重視されるようになるだろう。では、選挙のカタチはどう変わり、洗練されていくのか――。

2016年、18歳まで選挙権が引き下げられ、選挙はより若者まで広げられることとなった。今年でiPhoneが誕生してから10年。そしてツイッターが誕生してから11年である。今やスマホでハイビジョン動画を見るのが当たり前となり、あらゆる情報をテレビや新聞ではなくスマホだけから取り入れる有権者が増えていく。もちろん、この流れは若者に限らず、すべての世代に起こるだろう。

当然、トラブルも増え、フェイクニュースも出回る。支援者ひとりひとりが発信者にもなるので、選挙が盛り上がってくるとヒートアップする。本来であれば、候補者も政党もより発信力が増していくようなものだが、デマや誹謗中傷対応に追われることも多くなる。「そんな苦労するくらいなら、いっそのことやらないようにしたい」と思う候補者も出てくるはずだ。また、ほとんどのSNSが、ここ10年ほどのうちに誕生していることから、この先10年でネットをめぐる環境も大きく変わることが容易に予想される。

選挙にもAIの時代

そこで考えたいのは、「いかにインターネット上の選挙活動をポジティブな方向に持っていくか」である。デマやフェイクニュースは今後も悪質化していくという前提で、その監視をどうするか。ひとつの手段はAIの活用だろう。AIが24時間ネットを見回り、デマもしくは悪質な誹謗(ひぼう)中傷のようなものを見つけた場合、運営元に即座に連絡する。その運営元でもAIで受け付けるようになるかもしれない。こうした通報システムは技術的にはここ1年ほどで実用化できるはずだ。