売り手市場における“何となくインターン”

大学生の就職活動、企業の新卒採用は現在、就職する学生が優位な「売り手」の採用環境になっている。そのため、知名度が高くない中堅、中小企業を中心に多くの企業が苦戦を強いられている。早くから学生の企業選びの選択肢に入り、自社の選考に進んでもらうため、企業は年々、早くから採用活動をするようになってきた。

会社説明会に訪れた2018年春に卒業予定の大学生ら。(写真=時事通信フォト)

企業の採用広報の解禁は、3月1日からだが、それよりも前に学生に出会う手法として「インターンシップ」がある。

インターンはもともと、就業体験という意味で、複数日かけて企業の中で実際に仕事をし、仕事内容や進め方、企業文化などを体感して、企業や社員を知り、社会を学ぶという場だ。

しかし最近では、1日や数時間で人事が企業や業界を説明したり、社員が自分の仕事を伝えたりする“セミナー型”が増えている。今は全体の約7割がセミナー型だという。

最近では他社に釣られ「何となく」インターンを始める企業も増えてきた。ただ、実施する目的が不明確だと有益な結果は出ない。参加した学生が「A社の就業体験は、つまらなかった。得るものがなかった」という印象を持つと、負の口コミが就活生に広がり、より採用活動が難しくなることもある。

インターンの内容や日数、時期がどうであれ、企業は参加学生に「どんな体験・経験を通じて、何を得てほしいのか? なぜ、そのインターンシップを行うのか?」という目的とその目的を達成するための内容や社員との関わりがあってこそ、意味が出てくるのだ。