「ちゃんと読んだの!!」とけしかけてはいけない

さて、「読書感想文」にとりかかる前の関門。それは、読書の苦手な子が、本を「しっかり」読むことである。「しっかり」と書いたのは、その本のストーリーをちゃんと頭の中に入れるという意味だ。

ただ、この「しっかり」読むことが難しい子は、文章の内容がちっとも頭の中に残らない。中学受験の国語の問題を苦手とする子にも、同じ傾向がある。

たとえば、全部で10段落に分けられる文章を一読させたとき、こんな状態になるのだ。

「3段落目を読んでいるときはすでに1段落目の内容の記憶は薄れ、6段落目を読んでいる頃は、もう3段落目までの内容は完全に頭の中から吹っ飛んでしまい……最後の10段落目を読み終わることには9段落目以降の内容しか覚えていない……」

すなわち、文章(物語や説明文)を俯瞰できず、字面を懸命に追っているだけになっている。

このとき、親のしがちなことが、「ねえ、ちゃんと読んだ!」とけしかけてしまうことだ。これはまったく効果のない声かけどころか、子のやる気をさらにそいでしまう最悪の対応だ。

文章の内容を頭に残るようになる「魔法の声かけ」

では、どうするか? 

子が文章の内容を「しっかり」頭に残す「魔法の声かけ」がある。1章を読むごとに、親がこう質問してみよう。

「登場人物の名前と、それぞれの人物が主人公とどういう関係なのか言ってごらん」
「最初に主人公にどういう出来事が起こって、その時主人公はどんな気持ちになったのかな」
「次にまた主人公にどういう出来事が起こって、主人公はどんな気持ちに変わったのかな」(これは文章によって質問回数が増減する)