願掛けで目標のてっぺんに立つ

カイロ大学に留学した私は、日本とは異なる文化圏での生活に混乱していました。語学のハンディに加えて食生活も暦も違う。イスラムの国々は、日本や西欧諸国とは違い、太陰暦を採用しています。つまり1年ごとに暦が季節と少しずつずれていくのです。そんななかで、自分のリズムとモチベーションを保ち続けるのは至難の業。そこで思いついたのが、マイ・カレンダーをつくるというものでした。

1年のスタートは、自分が進級した日と定めました。周囲がお祭りだろうとラマダンだろうと、私は私のペースで勉強し、稼ぐときはアルバイトで徹底的に稼ぐ。そして、無事進級した暁には、カイロタワーなど高層ビルの屋上から大声で叫び、1年の労をねぎらうというご褒美も加えました。

高いところに上るアイデアは我ながらいい目標となりました。そして、最初に思いついた場所はピラミッドでした。しかし、そこはあえて最後に取っておくことにしました。

留学中、私は観光ガイドのアルバイトをしていましたから、ピラミッドには観光客を連れて200回近くは訪れました。でも、決して自分では上らず、「卒業したら上ってやるから、待っててね!」と心の中で念じるわけです。私にいわれるまでもなく、ピラミッドは何千年も前からそこに立っているのですけれどね。

卒業後、晴れて私はピラミッドに上りました。それもただ上るだけではなく、頂上で簡易着物に着替えて、お茶を点てたのです。今も写真が残っていますが、若気の至りです。皆さんはどうぞ真似しないでください。

目標は高ければ高いほどいい。しかし高すぎる目標は、「どうせできない」という諦めにも通じます。そこで有効なのが、最終目標に至る道筋を小分けにし、乗り越えられる小さな目標に落とし込む方法です。その1つ1つを順にクリアしていくことで、いつの間にかピラミッドの頂上に立っている。それが私の「成功術」の秘訣です。

この夏休みは、皆さんもぜひ、ご自分なりの目標と、それを達成した先のご褒美を考えてみてはいかがでしょうか。

(構成=三浦愛美 撮影=原 貴彦 写真=日刊スポーツ/AFLO)
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