自己のイメージを演じ切る進次郎

その点でそつがないのが小泉進次郎衆院議員だろう。父・純一郎氏譲りのワンフレーズポリティックスでわかりやすいうえ、その所作はきびきびしている。外から見る限りまったく無駄がない。

「議員会館のエレベーターで乗り合わせると、大半の女性秘書はウットリする」(ベテラン秘書)という進次郎氏。隙を見せないメンタルの強さは脱帽モノである。(写真=共同通信フォト)

「情」を見せることも忘れない。顔を見たことのある人には必ず会釈する。うっかり見過ごしたら、振り返って挨拶する。相手は「あの進次郎氏に気遣ってもらった」と感動してしまう。「自己のイメージを演じ切っているが、髪形が今風だし本質はチャラいかも」(平塚氏)という見立てもあるが、永田町で悪い評判を聞いたことがないのは確かだ。

「3時間しか眠れないが、頑張る」

「見た目」に続いて「物言い」を検証しよう。企業社会で最も信用されないのは、節操のないタイプである。所属政党がころころ変わる政治家が軽蔑されるのも同じことだが、2016年の参院選に当たって、そんな政治家に有権者が騙されそうになったケースがある。比例区の1人をネット投票で決める自民党の「オープンエントリー」に応募し、12名のファイナリストに残った柳澤亜紀港区議だ。

柳澤氏は民主党政権時の11年の区議選で民主党から出馬し初当選したが、15年の区議選では与党に返り咲いた自民党に転じて再選した。

「まったくもって節操がない」

呆れるのは民進党(当時民主党)の関係者ばかりではない。自民党関係者からも、「有権者に説明するために、一度は無所属議員として選挙の洗礼を受けるべきだったと思う」との苦言を聞いた。

しかもオープンエントリーで柳澤氏は港区の待機児童の改善を自分の手柄のように主張したが、これについて他の区議たちは一様に「事実ではない」と斬り捨てた。

「港区は23区内で財政的に最も豊かなので、お金をかけて取り組んだ結果が出ただけだ。柳澤氏が格別これに貢献したという事実はない」

有権者は全能ではないため、時には騙されることもある。その対処法として最も有効なのは、やはり政治家に直接会って話を聞くことだ。

そこから人間性が判断できるし、実物がHPの写真などと乖離しているかどうかを確認することもできる。あまりに違っていたら、“修正”を疑ってみよう。選挙は美男美女コンテストではない。