文在寅大統領は地獄の仏か蜘蛛の糸か

文氏は大統領就任直後の会見で、青年の雇用問題を優先課題として掲げ、公共部門において81万人の雇用創出を宣言、民間部門にも50万人程度の雇用拡大を目指す方針だ。また政策実現のため政府支出をこれまでの2倍のペースに拡大すると表明した。ジェインの頭文字をとり「Jノミクス」と呼ばれるこれらの政策は実現できるのか。

圧倒的な文氏の勝利と伝えられた今回の選挙だが、氏の得票率は41.08%。文氏に投票しなかった6割近くの国民をどうやって納得させるかは大きな課題だ。また、文氏の所属する「共に民主党」は国会の議席過半数に達していないこともあり、単独では今後の政権運営が容易ではないことが予想される。

新大統領は若者にとって、地獄で出会った仏か。それとも、かりそめの希望を与えるだけの蜘蛛の糸か。それは公約が実現されるかどうかにかかっている。文氏が若者を裏切るようなことがあれば、「ヘル・コリア」はさらなる失意で覆われるだろう。

前政権は国民がロウソクを持って集まった平和的デモで権力の座から追われた。新政権がロウソクではなく若者の心に灯りをともすよう祈りたい。

深作光輝ヘスス(ふかさく・こうき・へすす)
1985年、ペルー・リマ出身。成蹊大学経済学部卒。(財)青少年国際交流推進センター、在アメリカ合衆国日本国大使館勤務をへて、長期的外交ビジョンを模索すべく2015年、松下政経塾に入塾。
(写真=時事通信フォト)
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