25歳店長が背負う重責はプロのマネジャーへの近道

同社の店長は契約・パートなどの店舗スタッフの採用と教育、人事考課の権限を持つだけでなく、在庫計画に基づく発注権限を持つ。もちろん、人件費やテナント料、広告費を含めた経費も考慮に入れた利益責任も伴うなど権限も大きい半面、責任も重大だ。弱冠25歳の若さでそれらをすべて引き受けなければならない。

自身も入社後1年で店長になったという前出の橋本氏は「すごく大変ですし、逃げたい、辞めたいと思うこともあります。しかし、若いから、経験がないからという理由で責任ある仕事を与えられないよりは、店長を任せてもらえることにモチベーションが喚起され、自分も成長したいという貪欲な人が集まってきている」と指摘する。

若くして店長の重責を担わせるという同社の戦略は、近年増えている、現場での“修羅場の体験”を経験させてプロのマネジメント職を養成する手法に近い。店長職をビジネスの基本と位置づける同社はその後のステージも用意している。もちろん、本部の管理部門やマーケティング、生産をはじめ海外事業部門で活躍する道も開かれているが、店舗営業系の職階では店長の上がスーパーバイザー、その上がブロックリーダーになる。

スーパーバイザーは6店舗程度を統括するマネジャーであり、ブロックリーダーは全国15ブロックの1つを統括し、約50店舗、売り上げ約300億円を預かる営業総責任者である。ちなみにスーパーバイザーへの昇進は早い人で26歳、平均で30歳。ブロックリーダーは早い人で28歳、平均でも32歳という若さである。

また、同社のユニークなところは、こうしたライン職とは別に専門の店舗経営職のコースを人事制度上に位置づけている点だ。スーパー(S)店長とスーパースター(SS)店長の2つに分かれ、本人の実績と能力によって格付けされる。通常の店長と違い、発注や在庫の調整権限が大きく、給与体系も他の店長より業績に対する変動幅が大きくなるように設計され、高い業績を上げればそれだけ報酬も増える仕組みである。店長として一定のレベルに達したと評価されれば、このコースを選択することも可能だ。さらにSS店長の中で審査に合格すれば、同社のフランチャイズ(FC)店として独立する道も開かれている。