[6]シミュレーション結果をグラフ化しよう

より上司を納得させるために、作成した3パターンのシミュレーションをグラフで可視化する。グラフ化することで楽観ケースと悲観ケースでどれくらい利益に幅があるのかが一目でわかる。事業を前進させるには、悲観ケースの場合でも確実に利益が出る見通しであることが望ましい。

(a)グラフにすることで、3パターンのケースでどれくらいの幅があるシミュレーションなのか、一目でわかる。

【完成】過去の推移とシミュレーションした利益計画を組み合わせると、実現可能性がよりわかりやすくなる。

[7]予測の妥当性を証明しよう

作成した予測数値を上司に納得させ、実際の目標に設定してもらうために、計画の信頼性を証明する必要がある。基本的な手法は「比較する」こと。作成した予測を過去、競合他社、市場規模と比較し、シミュレーションがいかに正確かを示すことで証明する。

【検証方法】

▼過去との比較
これまでの自社の成長と、今後の成長に大きなズレがないかを確認してみる。上のグラフを見ると、普通ケースは過去のトレンドに沿って成長しているように見受けられる。一方で、楽観ケースと悲観ケースでは大きくブレが起こっている。ブレの理由を合理的に説明できるように準備する必要がある。

▼競合他社との比較
自社だけではなく競合他社の計画と比較してみる。下図のように自社の計画と比較し、見比べる。楽観ケースの数値は業界最大手の競合A 社には及ばないものの、自社よりもやや規模の大きいB社を上回る。「B社超えの利益を目指す」と説明することができれば、妥当な計画という印象を与えることができる。

▼市場規模との比較
新規事業を立ち上げるときなどに作成する収益計画では、市場規模との比較を使う。日本のスマートフォンユーザーの5%が使うアプリサービスといわれれば現実味があるが、80%が使うアプリを目指すというと実現可能性が低く感じられる。市場環境を見据えたうえで目標値を定めることも大切だ。

熊野 整

モルガン・スタンレーの投資銀行部門で、顧客企業のM&A、資金調達案件に携わる。現在は、スマートニュースにて財務企画担当。全国でエクセルセミナーや企業研修を行う。著書に『外資系投資銀行のエクセル仕事術』。
(文=鈴木 工 撮影=竹井俊晴 写真=平地 勲)
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