ビジネスモデルの構造化

売り上げと利益のシミュレーション。どうすればいいんだ……
【STORY】
仕事ぶりが認められ、販売店の課長に任命されたあなた。「君が担当するA店の売り上げと利益は、これから3年でどう変わるか。最高のシナリオと最悪のシナリオを教えてほしい」。さっそく部長からのオーダーが。数字にはめっぽう弱いあなた。期限は3日後。さあ、どうする?

外資系金融の世界では入社1年目からさまざまなビジネスの収益を予測しなければなりません。そのために、財務モデルと呼ばれる表を作成します。この知識は金融の世界に限らず、今回の自動車販売店のケースなど多くの人に役立ちます。

しかし参考書などを片手に財務モデルを作成しようとしても、何から始めたらいいかわからない人も多いでしょう。

こういうときはいきなりExcelに手をつけるのではなく、まずシミュレーションのための設計図を作成します。これはどのような要因で収益が生まれているか、ビジネスモデルの構造をツリー状にまとめたものです。

【ビジネスの構成図を描こう】

いきなりエクセルを始める前に、ビジネスモデルの収益構成をきちんと把握することが重要。構成図を作ることによって、利益を生み出す要因が何かを見つけやすくなる。今回のケースでは、売り上げの要素は自動車販売とサービスメンテナンスの2つ。人件費、販売管理費など必要な費用も入れていく。これらから利益を生むための構成要素が見えてくる。

上の構成図を見てください。一番右側のオレンジ色の部分が決まると、それ以外の項目が右から左に向かって自動的に計算され、利益が決まることがわかります。裏を返すと、利益のシミュレーションはオレンジ部分の数字次第になるわけです。これらの利益を生み出す要因となっている数字をバリュードライバーと呼んでいます。バリュードライバーとは利益を生み出す構成要素。何がバリュードライバーかが明確にならないとシミュレーションはできません。