中国やインドの未来ばかりが話題になっていますが、ヨーロッパは5年後どうなっていると思われますか。デイブ・シャピロ(ミシガン州)


 

ヨーロッパは、過去10年間、足踏みしてきました。他の地域がグローバル化を進め、競争力を高めるなかで、ヨーロッパは変化の波を横目で眺めていただけでした。もちろん、ヨーロッパのすべてがそうだったわけではありません。イギリスは20年前、グローバル市場を見据えて、経済の自由化を進めました。ハンガリー、スロバキアなど東欧の一部の国は、共産主義の足かせを捨てて、改革を進めてきました。

しかし、これらの国からもたらされる経済についての明るいニュースは、フランス、ドイツ、イタリアからの暗いニュースのために影が薄くなっています。ヨーロッパの中核であるこの3カ国は、福祉重視型経済の動脈硬化で、事実上マヒ状態に陥っています。

アメリカ財団のジョエル・コトキンによると、アメリカ経済が過去35年間に5700万人分の新規雇用を創出したのに対し、GDPがアメリカとほぼ同じ規模のヨーロッパは、この間400万人分の雇用しか生み出さなかった。失業率は、アメリカの2倍です。

また、フランス、ドイツ、イタリアの人口1人あたりの研究開発費は、アメリカの約半分です。この3カ国では少子高齢化も進んでいます。

最も心配される点は、ヨーロッパが全体的に悲観的になっていることです。

ハリスインタラクティブの調査で、「自分の生活にどの程度、満足しているか」という質問に「とても満足」と答えたのは、アメリカ人の57%に対して、ヨーロッパ人(フランス、ドイツ、イタリア)は約18%でした。さらに「あなたの状況は、5年後どう変わっていると思うか」という質問に「よくなっていると思う」と答えた人は3分の1だった。アメリカ人は3分の2がよりよい未来を予想しています。

それでもヨーロッパが終わっていないと考える、主な理由は3つあります。

1つ目は、ヨーロッパ経済は破綻するには規模が大きすぎ、重要すぎるということ。消え去ってしまうには、伝統、良質のインフラ、そして明るい見通しがありすぎます。ヨーロッパの労働者の教育程度は世界のトップレベルですし、現状への不満が表面化するきざしも出てきました。ドイツでは改革者の素質を持つ、アンゲラ・メルケルが首相に選ばれました。フランス政府は雇用増大を狙って、雇用ルールの改正を試みて抵抗にあいましたが、少なくとも前進の方向に舵を切ったのです。

2つ目の理由は、ヨーロッパに変化を志向するビジネス・リーダーが何人も登場していることです。ルノーのカルロス・ゴーン、ダイムラークライスラーのディーター・ツェッチェ、シーメンスのクラウス・クラインフェルドがその代表ですが、ほかにもいます。

 「古いヨーロッパ」が生き延びる3つ目の理由は、「新しいヨーロッパ」です。東欧諸国は、政府がビジネス促進策をとるなかで、あらゆる機会を見つけ、国境を越えて活動するまったく新しい世代の起業家を生み出しています。

5年後、ヨーロッパはなお、完全に元気を取り戻してはいないでしょうが、確実によくなっているでしょう。