いい点を取ったらほめ方に注意!

ご褒美の次は、「ほめ方」についての研究成果を見てみましょう。

子供の勉強を習慣化させようと考える親にとって、「やってはいけないこと」がいくつかあります。一つはテストの点がよかったときに「能力をほめる」ということです。

米コロンビア大学のミューラー教授らが公立小学校の児童に対して行った実験によると、IQテストのあとで「努力」をほめられた児童は、その後に行われたIQテストでさらに成績を伸ばしましたが、「能力」をほめられた児童は、逆に成績を落としてしまったのです(図2)。

これは、能力をほめられた子供たちは、テストの結果を「自分の(生まれつきの)能力のせいである」と考えるようになり、次のテストでよい点を取るための努力をしなかったからだと考えられます。

また、子供に「勉強しなさい」と言うことも逆効果となります。これは私が学習院大学の乾友彦教授らと行った研究で明らかになりました。

就学期の児童を対象に「子供の学習時間を延ばすために、親はどのような働きかけをしたらいいか」を調査したのですが、残念ながら「勉強するように言っている」だけでは著しく効果が低く、とりわけ母親が女の子に対してそんな働きかけをすると、子供の学習時間は反対に短くなってしまうことがわかりました(図3)。

一方、最も効果的だったのは、母親の場合は「勉強する時間を決めて守らせている」こと、父親の場合は「勉強を見ている」ことでした。

経験的に「リビングで勉強する子は成績がいい」と言われていますが、これは子供が勉強する姿を親が近くで見守っているとか、より積極的に勉強時間を管理しているからではないかと思われます。