うちの子は1学期の成績が振るわず、夏休み中もあまり勉強していなかったようだ。そろそろ受験準備に身を入れなければいけないはずだが、どうしたらスイッチが入るのか。子供の勉強に関する「新常識」を探ってみた。

成績を上げるには勉強しなくてはならない。一時的ではなく継続して勉強するには、学力以外に体力や精神力も必要だろう。だとしたら、親は何をしてやればいいのか。改めて思えば、教育はわからないことばかりである。

そこで今回、私たちは信頼の置ける専門家2人に、「どうすれば子供が真に実力のある大人に育つか」をレクチャーしてもらうことにした。

中室牧子●教育経済学者。1998年、慶應義塾大学卒業。米コロンビア大学博士。日本銀行、世界銀行勤務を経て、2013年から慶應義塾大学総合政策学部准教授。著書に『「学力」の経済学』がある。

最初に話をうかがったのは、教育経済学者の中室牧子慶應義塾大学准教授である。科学的根拠に基づく中室氏の主張は明快で、「ご褒美を使って勉強させてもいい」「子供の努力はほめるべきだが、能力をほめてはダメ」というものだ。

中室氏によれば「自制心」「やり抜く力」といった、学力を下支えする「非認知能力」も重要だ。そこで作文や思考力、野外体験を重視した大人気の学習塾「花まる学習会」を率いる高濱正伸代表には、子供の「見える力」「詰める力」を育てるために、とりわけ父親が関与しなくてはいけないことについて檄を飛ばしてもらった。

意外な指摘もあるはずだが、いずれも読めば納得の「新常識」だ。まずは中室氏による「理論編」からスタートしよう。