マネジメントゲームMGの知的財産権を持つマネジメント・カレッジの松原直樹代表取締役が開発経緯を教えてくれた。

「ゲーム誕生は1976年。ソニー創業者の一人である故・盛田昭夫氏が、後継者育成を念頭に号令をかけたのが発端です。当時のソニーはエンジニアが大多数を占めていました。そうした中でも次代を担う経営層を輩出しなければならない。経営に関心が薄く、財務会計の素人であるエンジニアでも、短期間でマネジメントのノウハウを、効果的かつ楽しく身につけられるツールが必要とされたわけです」

“楽しく”とはいえ、そこは本格的な経営シミュレーションゲーム。導入している企業は、「研修」の形をとって社員教育に役立てているケースが多い。実際に、2日間かけて行われる、マネジメント・カレッジの公開セミナーに参加したところ、初日の昼過ぎ頃までは、ゲームの全体像を把握するのに四苦八苦する参加者の姿も見られた。

だが、ワンプレーごとに声を上げることもあり、緊張感はすぐにほぐれる。終了後は同じマーケットで戦ったという一体感が生まれ、プレーを振り返りながら、将棋の感想戦のように盛り上がっていた。

「会社に勤めていれば、指示が上から降ってくるのが当たり前。改善・効率化くらいまではどんな社員も日常的に考えていると思いますが、会社自体が、どういう方針でどこへ向かうのかといった戦略的なことを本気で考える機会はあまりないはず。マネジメントゲームMGでは、そうした将来ビジョンや経営センスを要求されるため、普段では味わえないような刺激を受けることができます」(松原氏)

孫社長は、ソフトバンク創業直前にマネジメントゲームMGと出合い「強烈な勉強になった」と振り返っている。そして現在は、盛田氏同様に後継者育成のツールの一つとして期待しているようだ。しかも、マネジメント・カレッジとライセンス契約を結び、孫社長独自のルールも導入しているのだ。

そのうえで、マネジメントゲームMGは、ソフトバンクやグループ会社の人材教育において、さまざまな場面で登場する。たとえば、孫社長の後継者発掘・育成・見極めを目的とした「ソフトバンクアカデミア」や、新入社員研修、新任課長研修などでも取り入れられている。