人不足からむしろ人余りへ?

次に「サービス」です。ラーメン店や牛丼店では食券を購入するシステムは一般的ですが、これはサービスの機能の一部を機械が代替したものです。最近では、注文をタッチパネルで受ける居酒屋やファストフードもあります。また回転寿司についてはパネルでの注文に加えて、料理を運ぶという役割までもがすでに機械化されています。

これらを組み合わせれば、今すぐでも限りなく無人に近い飲食店は成り立ちます。現時点では完全に無人というのは難しいでしょうが、少なくともバックヤードに人が1人いて、調理の補助やシステムコントロールを行っていれば、かなりのことが可能です。

すると、牛丼店やファストフード、コーヒーショップなど低価格の飲食店では、サービスの機械化が一気に進むかもしれません。飲食店の多くは現在深刻な人手不足に悩まされていますが、この流れが進むと、どこかで状況が反転し、むしろ人余りになる可能性は否定できません。

一方、接客を持ち味にする高級店では、そう一気に変化は訪れないかもしれません。調理に関するテクノロジーが進化して「そこそこおいしいもの」がどこでも食べられるようになれば、ハレの場で高度なホスピタリティに接することこそが、特別な体験になりうるからです。

最後に飲食店が提供する「場」という機能について考えてみます。飲食することと同じくらい「誰かと同じ時間を過ごす」ことは大切な意味を持っているので、飲食店のこの役割はそう簡単にはなくならないように思われます。しかし、この価値にも2つの点から危うさが忍び寄ります。