和食のデザートは貧弱?

フレンチやイタリアンのレストランでコース料理を食べると、食後のデザートの華やかさやボリュームに驚くことがあります。皿数の多いフランス料理のコースの場合、まずは「アヴァンデセール」という前座のデザートが出て、その後にメインとしてのデザート、そしてコーヒーとともに「プティフール」という小菓子が出るなど、デザートだけで3回も登場することがあります。

一方で、懐石料理など和食のコース料理では、デザートに重きを置く店はあまり多くはありません。「水菓子」と呼ばれる季節のフルーツを出すことが多いですし、それ以外の場合でも軽めの菓子を供することがほとんどです。

 

この理由には諸説あります。例えば、和食では調味料として砂糖やみりんを使用することで、食べ手は料理で糖分を摂取しているので、あえて食後に糖分を提供しないのだという考えがあります。あるいは、和食では最後のごはんと味噌汁、香の物で完結しているので、その後にもう一度盛り上がりをつくることはしないのだという説もあります。

あるいは、フレンチやイタリアンではパティシエというデザートづくり専門のスタッフがいることが多いですが、和食にはそうした職能がないため、飲食店における甘味が発展しなかったという側面もあるでしょう。

しかし、こうした状況にも変化が見られます。魚介や野菜の印象が強かった和食でも、肉や乳製品の存在感が強まっていますが、そうなるとそれに負けないくらいの強さを持つ甘味を求めるニーズが高まっています。また、各国料理の華やかなデザートを見れば、和食でも魅力的な食後のひとときを提供したいと思う料理人が増えるのももっともです。