有料で許されるのはウーロン茶だけ

「温かいお茶をお持ちしましょうか?」「はい、お願いします」。これは日本の多くの飲食店ではごく当たり前の会話のやり取りです。席についたら何も言わずともお茶が出てくる店も多いものですが(少なくとも水はほとんどの飲食店で出てきます)、これは世界的にはまれなサービスであるのは間違いありません。中国をはじめアジアの国の中には、同様にお茶を無料で出してくれるところもありますが、アメリカやヨーロッパではまずありえません。

有料のソフトドリンクメニューとして、こだわりの緑茶を提供する和食店もありますが、それが実際に注文されることはほとんどありません。どうせタダでお茶が飲めるのに、わざわざお金を払ってお茶を注文するモチベーションは大抵の人にはないのです。同様に、サービスとしてウーロン茶やジャスミン茶が出る中華料理店では、おいしいのはわかっていても有料の中国茶を頼むお客は実に少ないものです。

 

ちなみに不思議なもので、中華料理店以外の店では、ウーロン茶は有料でもお客が納得する、唯一と言ってよいほどのお茶です。日本におけるウーロン茶の歴史を振り返ってみると、1981年に伊藤園が缶入りウーロン茶を初めて発売し、その後サントリーが続き、飲食店を中心に広く普及をさせていきました。

緑茶やほうじ茶は当時家庭でいれて飲むものでしたから、お店でお金を払う価値は見出されませんでした。しかし、家では飲まない(飲めない)「新しいお茶」として登場したウーロン茶は、見事に「有料茶」のポジションを獲得し、今なおその価値で生きながらえているのです。