警察官の暴走の背景にあるのは職務質問の「ノルマ化」だ、と清水弁護士は話す。ノルマになった途端、職務質問の目的は安全な地域づくりではなく、警察官個人の自己保身になる。危険そうな人に声をかけて危険な目に遭うより、従順そうな人に声をかけて点数を稼いだほうがいい。東京なら、北千住駅構内や周辺では、警察官が誰彼構わず声をかけて職務質問をしていて、数十回も職務質問された通行人がいるという。

「上司に部下を育てる能力がないから、自分たちが過去にやっていたことと同じことをやらせているだけ。こんなことばかりしていたら、警察は一般の人々に嫌われるばかりなのに」(同)

では、職務質問にはどのように対応すればいいのだろうか。

「職務質問のターゲットになりそうな人はなるべく一人で歩かない。一人歩きしていて運悪く声を掛けられたら、周りの人に聞こえる大きな声で、『職務質問ですか』『職務質問の要件を満たしていますか』と聞く。ちゃんと答えなければ、『職務質問を拒否します』と言って立ち去る。たとえば十徳ナイフを持っていたら、『持っているだけで軽犯罪法違反ですか。法律の条文は違いますよね』『私は犯罪を犯していません』とはっきり言う。交番に連れ込まれてしまったら、『監視カメラで音声も映像も撮っていますよね』と確認して、堂々と説明をする。警察官の体に少しでも接触すると、『公務執行妨害』と言われ、突然逮捕されることもあるので、絶対にさわらない。これが守れれば、職務質問されても、生還できるかもしれない」(同)

(PANA=写真)