街年中を歩いているときに、警察官から突然呼び止められ、「職務質問」を受けた経験はないだろうか。警察官職務執行法2条1項には「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して」犯罪行為に絡んでいると疑われる者を停止させて質問できる、とある。

十徳ナイフ(アーミーナイフ・写真)を、持ち歩いている人は要注意。(PANA=写真)
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十徳ナイフ(アーミーナイフ・写真)を、持ち歩いている人は要注意。(PANA=写真)

職務質問は、逮捕などとは違い、断ることも理屈では可能だが、かえって怪しまれて長い間足止めを食うことにもなりかねない。だから素直に協力すればよいのだが、「現実には、職務質問自体が目的化してしまっているので、身に覚えがなくても対応には注意が必要」と話すのは、警察活動に詳しい清水勉弁護士。

「いかにも危険そうな人は職務質問されない一方、気が弱そうな20代後半~30代の男性がリュックを背負って一人で歩いていれば、高い確率で声をかけられる。こういう人は、警察官が多少手荒な態度をとっても従ってくれるからだ。ナップザックを開けさせて、仮に十徳ナイフなどが見つかれば、『軽犯罪法違反だぞ』と嘘をついて警察署に連れていき、自白調書をつくり、被疑者として指紋や顔写真をとる。それが職務質問のコースになっている」(清水弁護士)

つまり、前述した「異常な挙動」などの適法要件を満たさない職務質問が横行しているというのである。

「そもそも十徳ナイフを持っていただけで軽犯罪法違反だとするのは、滅茶苦茶だ」(同)

軽犯罪法一条二号は「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」を処罰対象とする。だから、十徳ナイフを仕事などの道具として持ち歩くなら「正当な理由」があるし、カバンにぶら下げていたり、無造作に収納している程度なら「隠して携帯していた」ともいえないから、軽犯罪法違反に当たらないのだ。

「そして、警察官のこの無法ぶりを隠しているのが検察官。本当なら不起訴とすべきなのに、書類送検された事件を、本人に内緒で、起訴猶予、つまり、犯罪は成立しているが起訴しない、と処理してしまう」(同)