採用市場の厳しさを表す指標としては、有効求人倍率が一番ポピュラーな指標だろう。これは、仕事を探している人一人当たり、どれくらいの求人(仕事)があるか、というものだ。数字が大きくなればなるほど、応募者に有利となる。

現在(10年)の新卒有効求人倍率は1.62、中途採用の有効求人倍率は0.43とスコアは4倍近くになっている。「そんなに新卒は有利か?」と、違和感を覚える人も多いだろうが、理由を知れば納得していただけるだろう。

新卒の有効求人倍率を従業員数1000名以上の大手企業と、1000名未満の中堅中小企業とに分けてみてみると、大手の新卒求人倍率(10年は0.55)は、中途採用とほぼ同じで、文字通り氷河期だ。一方、中堅中小になると、今年でも新卒求人倍率は一挙に3.63と、中途採用の6倍を超える数字となっている。

つまり、就職氷河とは、新卒では大企業のみの話で、中堅以下の企業には、まだまだ十分に就職口が残っている。

ならば、えり好みしている学生が悪いのか。

一概にそうも言えない。まず、中堅中小企業は、採用にかける予算が少ないため、なかなか採用広告が打てず、学生の目に留まらない。仮に広告を掲載しても、名前も事業もよく分からない企業だから、学生も応募に躊躇する。この辺に、問題解決の糸口がある。

素性の分からない企業と学生を結ぶ。たとえば、大学主催で、中小企業の経営者と学生の飲み会を毎週開くのはどうか? 無手勝流でここに導線を作るのが、就職氷河を溶かすための一矢となるはずだ。

※この連載では、プレジデント社の新刊『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(3月15日発売)から一部を抜粋して<全5回>でお届けします。

(澁谷高晴=撮影)