世にまかり通る保険の常識の数々。しかし、それを信じると思わぬ落とし穴に入り込むことに……。そんな実は「非常識」なことを保険のプロたちがつまびらかにする。

がん保険

がん保険に入っていて、がんになっても保険金が下りない――。信じられないかもしれないが、真実なのだ。

「その代表例が上皮内がんです。たとえば、アフラック(アメリカンファミリー生命保険)のがん保険の2000年以前の契約では、特約を付加しないと保険金の支払い対象外になっています」とFPの畠中雅子さんはいう。

上皮とは、食道や胃、子宮などの粘膜で最も外側の部分。そして上皮内がんは上皮にとどまって、その内側の基底膜(大腸の場合は基底膜の内側の粘膜筋板)を越えていないがんのことだ。

がんと上皮内がんとの違い

上皮を破って増殖しているがんと違って、転移する可能性はきわめて低く、手術で切除してしまえば、再発の可能性も低い。入院日数が短くて済むため、医療費も多くはかからない。そこで保険会社としては免責にしたわけだ。

ただし、契約者にはわかりづらくて不評だったこともあり、00年12月以降、アフラックは上皮内がんもカバーするがん保険に切り替えている。それより前に加入したがん保険なら、契約内容を一度チェックしておこう。

また、FPの平野さんは「がん保険には、待機期間もあることを忘れないでください。がんは自覚症状が出にくいので、保険の加入時にがんが隠れていることもある。そこで、加入して3カ月以内に見つかったがんには、保険金を支払わないといった契約なのです。注意しましょう」という。

畠中雅子
1992年にファイナンシャル・プランナー資格を取得。新聞や雑誌に連載記事を執筆。
 
平野敦之
1998年に独立。生命保険から損害保険まで幅広くカバーする保険のプロとして活躍。
 
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