世にまかり通る保険の常識の数々。しかし、それを信じると思わぬ落とし穴に入り込むことに……。そんな実は「非常識」なことを保険のプロたちがつまびらかにする。

ネット生保

「ネット生保なら営業コストを抑えられ、対面型の生保よりも保険料を安くできる」――。こう考える人が多いようだが、必ずしもそうとは限らない。

下の表は、一定期間内における死亡や高度障害に対する保障を行う定期保険の保険料の比較。定期保険は解約返戻金が出ない“掛け捨て”タイプで、同条件なら保険料が安いほうがいい。ここでは、40歳男性で保障額3000万円、期間10年のものを示した。

ライフネット生命はネット生保で保険料は6622円。対面型のメットライフ、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命と比べると確かに安い。しかし、同じ対面型のメットライフには4800円という保険もあり、「ネット生保が一番安い」は実は“非常識”だったことがわかる。

なぜ、こうしたことが起こってしまうのか。家計の見直し相談センター代表でFPの藤川太さんは、対象となる加入者の健康状態の違いを指摘する。

「健康な人なら死亡リスクが低く、保険料も安く設定できます。メットライフなどはタバコを吸わない非喫煙者や健康状態が一定以上の人が対象で、一方のライフネット生命は喫煙者も入れるものなのです。対面型なら喫煙状況を分析するコチニン検査を相対で受けてもらえます。しかし、ネットだとそれが難しい。つまり、喫煙、非喫煙を問わない標準タイプにならざるをえず、保険料も割高になるのです」

ただし、ネット生命でさらに格安の保険料を出すところが現れた。それが別表の一番下にあるチューリッヒ生命だ。メットライフと同じタバコを吸わない人が対象で、メットライフよりも210円安い4590円だ。ということは、「ネット生保が一番安い」は“常識”へと返り咲くのだろうか。

「チューリッヒ生命は委託した調査会社が、全国どこへでもコチニン検査に行く体制を整えました。しかし、非喫煙に加えて『最高血圧120mmHg未満・最低血圧80mmHg未満』という厳しいハードルが課せられています」と藤川さんは指摘する。中高年ともなるとクリアするのは結構厳しく、やはり「ネット生保が一番安い」を常識とするのは難しそうである。

 
藤川 太
「家計の見直し相談センター」代表。著書に『サラリーマンは2度破産する』など。