リオでメダル、東京で「金」目指す

姉の友理によると、母親は「正直、ふたりが一緒に選ばれてホッとした。ふたりがオリンピックに行くことで夢がかなう」と言って喜んでいたそうだ。24歳の友理が言う。

「私はお母さんの夢をかなえるということもありましたが、それ以上にお母さんを越えるという目標をずっと持ってやってきました。オリンピックに出るだけじゃなく、結果を出して自分の夢をかなえたいと思います」

妹の21歳、葉月はこうだ。

「おねえちゃんと一緒になるんですけど、私たちがオリンピックで活躍することが、お母さんへの恩返しになると思います。しっかり自分らしいプレーをすることができたらいいなと思っています」

ふたりの選手の性格は対照的。永井監督が少し笑いながら説明する。

「上(姉の友理)は僕に似て、あまりテンションが高くないし、じっくりいろんなことを見るタイプ。下(妹の葉月)は誰の子どもかと疑うくらいの割とポジティブで負けず嫌いで、(感情を)ものすごく表に出すタイプですね。でも、周りに心配りができる子なので、学校の先生の受けがいいです」

さあ、家族の五輪ストーリーのエンディングはどうなるのか。そう聞けば、永井監督は考え、こう笑顔で漏らした。

「今回のリオ五輪でメダルをとって、まあ、メダルをとれば、地元の東京(五輪=2020年)まで継続して強化をさせてもらえると思うので、東京では金メダルを目指せるようなチームをつくりたいと思います」

リオ五輪でメダル、その勢いで東京五輪では金メダル。なにやら永井家族の歓喜の絵が浮かんでくるではないか。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)、『新・スクラム』(東邦出版)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
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