相談の裏にある「心」の問題

あるとき、部下から「仕事上のミスでクレームが入っている」と相談されたとしよう。それに対しあなたは「これまでのやりとりは確認したか?」「まずは直接謝罪したらどうだ?」など対処法をアドバイスする――。これは一見、ごく普通の対応に思える。しかし実は、部下の悩みが深く、自信を失って落ち込んでいるのだとしたら、部下を逆に追いつめ、傷つけてしまう。部下の相談の裏に、心の問題が隠れているケースが多いからだ。

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相手の心はどちらの状態か?

ビジネスの世界で成果主義が広がりつつある今、我先に争って獲物を狩る競争ごとに慣れていない日本人の多くは、仕事の場において多大な心理的負担を感じている。その結果、ストレスで心を病む人の数も増えているため、相談を受ける側は、相談者の心理状態に常に配慮する必要が生じているのだ。

冒頭の例のように、ストレスで弱っている部下の悩みに対して問題解決策を提示したら、部下の心理はどうなるか。部下は、「君はやるべきことができていない」「こんなアイデアも思いつかないのか」と責められていると受け取り、モチベーションを失ってしまうのだ。部下を支援してあげようとアドバイスしたにもかかわらず、問題解決に至らないばかりか、部下から「あの人に相談しても落ち込むだけ」と苦手意識を持たれてしまうというのは、実に残念すぎるではないか。

「相談を受ける」という行為は、人と人が信頼関係を築くうえで重要な役割を担っている。相手が相談によって前向きな気持ちになれれば、信頼する人と共に働けることに喜びを感じ、遺憾なく力を発揮するに違いない。部下からの相談は部下と信頼関係を築く絶好の機会だ。あなたがうまく相談に答えれば、あなたに付いてくる「子分」が増えて人望も高まるという展開につながるはずだ。