どの企業が本当に伸びる「力のある会社」で、どの企業が尻すぼみの「倒産目前の会社」なのか。本書では、経営の健康状態=企業の信用調査を行う帝国データバンクが長年蓄積してきたデータに、読売新聞経済記者による独自取材を加え、企業の実力の見極め方が語られている。

藤森 徹(ふじもり・とおる)
帝国データバンク情報部部長。1963年、兵庫県生まれ。関西大学社会学部卒業。スポーツ用品メーカーを経て、92年帝国データバンク入社。2010年より現職。企業倒産の取材が長く、特に中小企業の経営問題に詳しい。日経電子版にてコラム「企業信用調査マンの目」を連載中。

「『倒産』と聞くと、社長に実力がなかったのだろう、借金まみれの『明らかにヤバい企業』ばかりなのだろうと思われるかもしれませんが、そうとは限りません。特にここ数年は、消費傾向の変化が激しく、スマホですべての消費欲求が満たされてしまうがゆえの『スマホ倒産』とでも呼ぶべきケースも多いのです。そのほとんどは直前まで見えてきません」

藤森氏は、このような困難な時代だからこそ「企業の実力を見極める『目利き力』がビジネスの肝になる」と断言する。しかし、一般にはまだこの考えが浸透していないようだ。

「基本的には、自己資本比率が30%以上あり、借金が月商の3カ月分以下、2年連続で営業利益がプラスになっている企業が『安定企業』とされています。ですが、多くの人はこの程度の最低限の確認も行わずにビジネスを進めたり、転職を決めたりしているようです。これは非常に危険なことです」

では、企業のどんな部分に注目すれば、真の実力を見極められるのだろうか。

「残念ながら、決算書の改ざんはそう難しいことではありません。ドラマ『半沢直樹』のような勧善懲悪は現実にはないのです。本気で隠そうと思えば隠すことができる」

そこで登場するのが、帝国データバンクの「倒産取材」の経験だ。

「どんな小細工をしても、社長の言動や会社の雰囲気は無防備な状態でさらされています。たとえば、この時代にホームページがガタガタな企業は確実に時代についていけていませんし、社員が挨拶をしない企業は、何らかの経営上の問題があって気分よく働けていないケースが多い。また、将来の話ばかりする社長は、苦しい現状を見たくないがための現実逃避をしている可能性が高いですね」

目からウロコ、とはまさにこのこと。本書には、企業とリアルに接してきたからこそわかる「目利き」のヒントが詰まっているのだ。

(岡本 凛=撮影)
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