社長がやらなければならない5つの仕事

和歌山出身の若手約70人が都内で集まった。

取締役になって8年、社長になってから6年の間、8カ年の長期経営ビジョンを進めてきました。それも3月末で終了します。リーマンショックの発生した2009年3月期を含め3年連続で厳しい業績となりましたが、後半の5年間でリカバリーできたという感じです。私にとって8年間の計画だったのが幸運でした。もし5年計画だったら最初3年間の落ち込みのために、後半の2年は苦し紛れの経営になったかもしれません。

社長としてやらなければいけないことを挙げると、「将来を考える」「総力を結集する」「変革」「揺るがない」「思いの共有」の5つです。実際はどれも難しい課題です。

社長になったら半分以上の時間は、今のことではなく将来のことを考えなければいけません。しかしそのための時間がなかなか取れません。驚いたのは会議が多いことです。お客様や社内との会議に投資家とのミーティングや会食、そのほか取材や講演などでも時間を取られます。そこで社内会議は必要最小限に絞りました。それから今までより早く、朝7時半に会社に来るようにし、8時半までの1時間と、12時からの2時間はアポイントを入れないようにして自分の時間を確保しました。

総力の結集も言うほど簡単ではありません。各事業本部は売り上げも利益もきちんと出していましたが、その分、お互いの壁が高かったわけです。本部長や部長はどうしても自分たちの組織中心のマインドになってしまいがちです。お互い、仲よくしろと言っても仕方ないので、お客様を中心に据え、お客様のために価値の高いサービスを提供するためには自分の組織がどうのと言っていられないことをわかってもらうようにしました。そのために、お客様ごとに社内を取りまとめる役員を置き、組織横断的な活動も仕掛けました。

変革も難しい課題でした。成功体験が強く、かつコンサルティングやシステムの会社ですから理詰めで考える左脳的な集団なので、変革を好まない体質があります。「新しいことにチャレンジしよう」と発破をかけても、「そこまでやることはないんじゃないですか」「そんな危なっかしいことはよしましょう」という雰囲気です。左脳で詰めていくと、やはり今の延長線上で物事を考えてしまいます。

ただリーマンショックの後、3年連続減収減益になったので、「このままではダメだ」「新しいことをやろう」という機運が生まれてきたのも事実で、そのチャンスをとらえて変化の必要性を説きました。