女性医師比率37.5%&有給取得率UP:武蔵村山病院

武蔵村山病院は、武蔵村山市の誘致を受け2005年にオープンした比較的新しい総合病院で、2010年にはNPO法人から「働きやすい病院」との認定を受けている。同病院では女性医師や女性職員が出産を機に離職しないよう、特に仕事と育児の両立を望む女性医師をサポートする取り組みを進めている。具体的には、週4日勤務でも常勤扱いにする、当直免除、時短勤務、育児休暇明けのサポート、離職中の医師の再就業促進、院内託児所等といった施策だ。取り組みが奏功して女性医師は増加し、現在は同病院で働く医師のうち37.5%が女性(全国の女性医師数比率は20.8%)。産休後の継続率も高いという。

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社会医療法人財団大和会 武蔵村山病院

同病院の院内託児所は、年中無休で24時間保育。一般企業でも社内に託児所を設けるところは多いが、よく問題になるのが稼働率の低さである。同病院では稼働率を上げることについても意識しており、利用状況について尋ねると「基本的には休日出勤や夜勤の職員を対象としている。保育士を呼ぶ日に合わせて勤務表を組むなどしている。1年間でのべ300人くらいの子どもを預かっている」との回答だった。

同病院のもう一つのポイントが、男性医師・職員も含めた有給休暇取得率の高さだ(看護師91.4%、医師69%)。総合病院は忙しく、特に医師は激務である。「そもそも、なぜ医師は休めないのか?」という治部さんの問いに対し、「患者さんを診るだけでなく、教育や研究も含めて医師の仕事。診療時間だけでは医師の仕事は終わらない。そこで、医師以外の職員が積極的に医師の仕事に関わるようにした。職員を教育し、医師でなくてもできる仕事は、できるだけ他の人が替わるように、仕事の振り分けを進めている」という答えだった。

長時間労働を解消し、有給休暇の取得率を上げるには、「休めない」「忙しすぎる」人でもちゃんと休めるような仕組みを考えなくてはならない。こうした積み重ねが、有給休暇の取得率アップにつながるという好例と言えそうだ。


女性医師や職員が出産後も働き続けやすいよう継続就業サポートを行っている(左)。また男女スタッフ共に有給休暇取得率が高いのも特徴(右)