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「女性活用/ダイバーシティの推進は大切」というが、そもそも何のためにやるのか? どうやってやれば成果が出るのか? 芝浦工業大学、DAC、武蔵村山病院といった女性活用の実績がある団体に極意を聞く。

東京都は1月27日、第2回「東京都女性活躍推進大賞」の贈呈式を行った。東京都女性活躍推進大賞とは、女性活躍推進に取り組む企業や団体、個人を東京都が表彰する制度で、今回大賞を受賞したのは、下記の4団体+1個人だ。授賞式のあと、経済ジャーナリストの治部れんげ氏がコーディネーターとなって、大賞受賞者によるパネルディスカッションが行われた。

 

・DACグループ……産業分野/広告業。449人のうち女性は221人、台東区
・社会医療法人財団大和会 武蔵村山病院……医療・福祉分野/病院。従業員626人のうち女性464人、武蔵村山市
・芝浦工業大学……教育分野/大学。大学教員数294名のうち女性31名、江東区
・豊島子どもWAKUWAKUネットワーク……地域分野/地域の子どもたちのサポート。18人中のうち女性13人、豊島区
・堤香苗氏(株式会社キャリア・マム代表取締役)……個人部門/小さい子どもを持つ主婦層などが活躍できる場を創出、多摩市

 受賞者はいずれもさまざまな分野・業種であり、おのおの異なる取り組みをしているが、それぞれのアプローチで働く女性の力になったり、女性従業員・管理職の数を増やしたりといった大きな成果を上げている団体・個人ばかりだ。パネルディスカッションの内容は非常に示唆に富むものとなったが、本記事ではその中から特に、組織における女性活用というテーマに焦点を絞り、DACグループ、武蔵村山病院、芝浦工業大学の例を紹介していきたい。

 

 
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豊島子どもWAKUWAKUネットワークでは、子ども食堂で1食300円の食事を提供したり、自由に遊べる場所を提供したりといった、地域で困っている子どもたちを助ける活動を行っている(左)/キャリア・マムでは、働きたい女性たちのために在宅でできる仕事を紹介。主に結婚や出産を機にキャリアが途絶えてしまった女性たちを支援している(右)
 

女性管理職比率が30%超の広告代理店:DACグループ

 DACグループは1962年創業の総合広告代理店。東京・東上野を本店とし、日本全国の主要都市や広州、ハワイに支店展開している。同社の従業員558人のうち、女性は299人。積極的に女性の幹部登用を進めるとともに、男性にとっても働きやすい環境を整備している企業だ。

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DACグループ

 「1980年代から女性社員を育てようという意識でやってきた」と話すのは、DACグループ代表の石川和則氏。「1980年代といえば、女性は総務にいるくらいで、お茶くみが当たり前の時代でした。保育園を作る、パートタイマーも保険に加入できるようにする、今でいう時短勤務などいろいろなことをやってきましたが、実は、一番大変なのは男性の意識を変えることなのです。『女なんかに……』という意識ですね」

 どうやったら男性(特に役職者)の意識が変わるのか? という問いに対し、石川氏は「変わらないです」とバッサリ。制度改革のためには実例を見せるのが大事だということで、女性活用が進んでいる北欧の企業や行政、政治団体を訪ねる視察研修を行っているという。「男女区別せず、一緒に世界を見せていくのが大事。あともう一つ、結果を出すには『長時間労働を変えよう』という意識があると違う」と話す。

 「長時間労働の解消こそ(女性活躍推進の)本質。それが解消されれば、男性も女性もうれしいですよね。でも、働く時間が短くなって、業績は下がらないのですか」という治部さんの問いに対し「うちは上がりましたよ」と石川氏は笑う。男性も女性も、ということでいえば、同社は男性の育児休暇取得率80%も達成している。

 もう一つ特筆すべきは、女性管理職比率の高さだ。同社ではダイバーシティ推進委員会を設立し、女性管理職比率30%を目指していたが、すでに女性管理職比率38%と目標を大きくクリア。現在は女性役員30%にチャレンジしている。

 「30年前、『男女平等』と言われていたころに、自分は『男女平等ではなくて男女公平だ』と思っていました。『平等』と『公平』は似て非なるものです。公平とは、能力がある人に、等しくチャンスがあること。うちの会社の特徴は、『任せるよ』と言えることだと思っています。そうやって女性を大事に育ててきました。なかなか女性社員に『任せるよ』って言えないものなんですよ」(石川氏)

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