2016年3月3日(木)

「会社の秘密」が漏れるのを防ぐには

PRESIDENT 2016年2月1日号

著者
村上 敬 むらかみ・けい
ジャーナリスト

1971年、大阪府生まれ。東京外国語大学外国語学部(マレーシア語科)卒。ビジネス誌・エンタープライズIT誌を中心に、自己啓発から経営論まで、幅広い分野で活躍中。

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文=ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 小倉秀夫 図版作成=大橋昭一
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買った名簿でのテレアポは危険!?

営業秘密を保護する不正競争防止法が改正され、2016年1月1日から施行された。改正内容は多岐にわたるが、影響が大きいのは、営業秘密のうち製造技術上の秘密を使ってつくられたものを、第三者が譲渡したり輸出入したりする行為が禁じられたことだ。

具体例で説明しよう。12年に新日鉄住金は、電磁鋼板に関する営業秘密を不正に取得したとして韓国鉄鋼大手ポスコを提訴した(15年9月に和解)。当時、新日鉄住金が提訴できるのは、電磁鋼板の技術情報を不正に盗んで使ったポスコまでだった。しかし改正後は、盗んだ技術でつくった電磁鋼を譲渡したり輸入したりした業者も提訴できる。

知的財産に詳しい小倉秀夫弁護士は、次のように解説する。

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不正競争防止法改正のポイント

「これまで当該製品を仕入れて転売していた中間業者はセーフでした。しかし今後は権利を侵害された会社から損害の賠償を請求されるおそれがあります。当該製品が営業秘密侵害によってつくられたものだと重過失なくして知らなければ違法になりませんが、ポスコのケースのように広く報道されていれば、知らないで済ますのは難しいでしょう」

ポイントがもう1つある。営業秘密には、顧客名簿のような情報も含まれる。従来から、不正に取得された営業秘密を使ったり開示する行為は犯罪だった。ただ、これまで処罰対象は一次・二次取得者に限られていたが、今回の改正でその制限がなくなった。

つまり今後は顧客名簿を盗んだ人や、盗んだ人から名簿を買った名簿業者だけでなく、違法なものだと知りながら業者から名簿を買って使った人も罪に問われる。第三者から入手した名簿を使ってテレアポしている会社は、要注意だ。

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