2016年2月17日(水)

なぜ日本の芸能人は「独立」ができないのか

PRESIDENT 2016年2月29日号

著者
松谷 創一郎 まつたに・そういちろう
ライター、リサーチャー

松谷 創一郎1974年、広島県生まれ。商業誌から社会学論文、企業PR誌まで幅広く執筆し、企業のマーケティングリサーチも手がける。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの30年戦争』、共著に『どこか〈問題化〉される若者たち』などがある。

ライター、リサーチャー 松谷創一郎=答える人
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SMAP解散騒動はなぜ沈静化したか

年が明けていきなり日本を大きく騒がせたSMAP解散騒動。そもそもきっかけは、メンバー4人がマネージャーとともに、他の芸能プロダクションへの移籍を企図したことだと報じられている。結局は元の鞘に収まることとなり、生放送での不可解な「謝罪会見」を招いたが、それによって芸能界独特の慣習の存在が、広く知れ渡ることにもなった。もし移籍や独立を敢行すれば、仕事を干されるリスクが待ち構えているのだ。実際これまでにも、それで辛酸を舐めた芸能人は少なくない。

なぜこうしたことが生じるかというと、それは芸能プロダクションが芸能人を雇用する立場であるからだ。芸能人は、あくまでも芸能プロダクションの被雇用者、つまり契約社員であることがほとんどである。

テレビ局や広告代理店などのクライアントも、芸能人個人ではなく芸能プロダクションと取引をする。もし退社して個人事務所などを立ち上げれば、所属していた芸能プロダクションから圧力がかかることもある。「おたくが○○を出演させるなら、うちのタレントは今後すべて引き上げる」ということだ。また、そうしたことを見越して、テレビ局や代理店が自粛するケースもあるだろう。なんにせよ、旧所属先とのパワーバランスによって、その後の仕事の多寡が決まってくる。

しかし世界的に見れば、日本の芸能界のあり方は非常に独特である。たとえば、アメリカには「芸能プロダクション」はない。アメリカで働く芸能人は、最初から独立した個人として活動するからだ。

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