2016年3月29日(火)

「金持ち夫婦」のために保育所を拡充すべきか

PRESIDENT 2016年4月18日号

著者
和泉 徹彦 いずみ・てつひこ
嘉悦大学 経営経済学部 准教授

和泉 徹彦1973年生まれ。2004年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。11年より現職。専門は、社会保障論、福祉の経済学、財政政策。川崎市保育事業者等選定委員会委員、中野区子ども・子育て会議副会長、日本経済政策学会理事なども務める。

嘉悦大学 経営経済学部 准教授 和泉徹彦=答える人
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シングルマザーが共働きに「負ける」

「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログ記事が話題を集めている。国会でも取り上げられ、安倍晋三首相は「(保育士の)待遇の問題があると認識している。今春にも具体的で実効性ある待遇改善策を示す」と答弁した。厚生労働省によると昨年4月1日現在で、保育所などを利用する児童数は233万人。一方、認可保育所に入れない待機児童は2万3167人にのぼる。待機児童が減らない理由は、保育士の給与が低く、担い手不足だからともいわれる。本当だろうか。

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保育所定員と待機児童数の推移

保育所には大別すると、「認可保育所」と「認可外保育所」がある。認可保育所は自治体直営の公立保育所、社会福祉法人、株式会社が運営主体になっている。設備や保育士の配置基準が保障されていて、保育環境は手厚い。利用者負担の保育料は、所得状況や子どもの年齢に応じて決まる。目安は月額1万~3万円だ。

認可外保育所は認可以外の保育所がすべて含まれる。保育環境は様々だが、その中には自治体の基準を満たして補助金を得ている保育所がある。東京都の「認証保育所」、横浜市の「横浜保育室」、川崎市の「川崎認定保育園」などがそれに当たり、認可保育所に入れなくても補助金付き保育所に入れれば待機児童にはカウントされない。保育料は所得に関係なく利用日数に応じた金額を払う。利用者負担の目安は月20日程度の利用で月額7万~10万円である。

最近では認可と認可外の保育料の差額を補助する自治体が増えており、認可外でも負担額が変わらないこともある。それでも保育環境の手厚さを理由に、認可への預け入れを希望する保護者は多い。

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