2015年12月17日(木)

「日本食はすばらしい!」しかしそのストーリーは外国人観光客に伝わっていますか

意外と知らないオトナの教養「飲食業界」ABC【第9回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
子安 大輔 こやす・だいすけ
カゲン取締役、飲食プロデューサー

子安 大輔1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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子安大輔=文
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「予約=来店義務」ではない!?

「インバウンド」。今年は本当にあちこちで、この言葉を耳にしたのではないでしょうか。今年の流行語大賞に選ばれたのは「爆買い」ですし、日経トレンディ誌の「2015年ヒット商品ベスト30」でも、3位に「インバウンド消費」がランクインしています。実際、銀座の街を歩けば日本人よりも外国からの観光客のほうが多いのでは? と思うくらい、今の都市部や観光地の経済にとって、来日している外国人によってもたらされる経済的な恩恵は計り知れません。当然、飲食店も例外ではありません。クチコミ情報が充実しているトリップアドバイザーなどで高評価を受けているラーメン店や回転寿司店、居酒屋などには連日多くの外国人が訪れています。

ただしこうした状況に対して、どの飲食店ももろ手を挙げて歓迎しているかというと、必ずしもそうではありません。例えば、迫力あるオープンキッチンが自慢のある和食店は、こんな嘆きをもらします。「有名ホテルのコンシェルジュから電話が来るので、大丈夫だろうと思って予約を受けるんですが、連絡もないまま来ない外国人の方は結構多いんです」。少し話がずれますが、オープンキッチンは日本人にとっては寿司や焼鳥などで馴染みのあるものですが、海外では決してメジャーなスタイルではありません。料理をしている様子が見えることはエンターテインメントそのものなので、外国人からは喜ばれることが多いのです。

こうした予約トラブルのケースは、同店に限らず、しばしば耳にします。「ノーショウ(連絡なしのドタキャン)」が起こる背景には、個人の人間性以外に、飲食店に対する認識の違いもあるようです。例えば、外国には数百席もある大規模レストランで、かつ「ふり客(予約なしで来店する客)」が続々と訪れるような店はたくさんあります。そういう店に慣れている人からすれば、「一応予約はしたけれど、自分が行かなくても、すぐに誰かがその席を埋めてくれるだろう」という認識があるので、「予約=来店義務」という感覚は相当に薄いようです。

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