2016年2月4日(木)

なぜ本業が好調だからといっても飲食業に進出するのはやめたほうがいいのか?

意外と知らないオトナの教養「飲食業界」ABC【第12回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
子安 大輔 こやす・だいすけ
カゲン取締役、飲食プロデューサー

子安 大輔1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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子安大輔=文
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飲食店経営における3つの役割

外食産業に関する仕事をしていると、異業種の方から「実は飲食店をやろうかと計画しているんですよ」という相談を持ちかけられることがしばしばあります。理由はたいてい「昔から食べたり飲んだりするのが好き」であり、かつ「本業が好調で資金的な余裕もある」からです。そんなとき、相談者がよほど飲食店に思い入れがあったり、素晴らしいアイディアを持っていたりするのでもない限りは、「やめたほうがいいですよ」と私は回答しています。

その理由を考えていくうえでは、「飲食店経営」をざっくりと3つの機能にわけることで、落とし穴が見えやすくなります。ここでいう3つの機能とは「所有(投資)」と「開発」と「運営」です。

「所有」とは、開業に必要な資金を調達して、実際に株主や事業主の立場に立つことです。要するに、金銭的なリスクを取るということです。「開発」とは物件を探し出したり、業態や商品をつくりあげたりすることです。マーケティング的な意味あいが強いと言えるでしょう。そして「運営」は、従業員を雇用して日々お店を切り盛りしていくことです。業務内容としてはいわゆる営業に当たります。

一見小難しく書いているようですが、多くの飲食店では一人の店主や社長が、これらすべてに責任を持って取り組んでいることが普通です。一方、機能を切り分けているケースで一番わかりやすいのはフランチャイズ形式でしょう。フランチャイズでは本部(フランチャイザー)は開発機能のみに特化し、所有と運営は加盟店(フランチャイジー)に委ねられます。

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