2016年3月17日(木)

じわじわと増加中!「夜ノンアル族」への対応策あれこれ

意外と知らないオトナの教養「飲食業界」ABC【第15回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
子安 大輔 こやす・だいすけ
カゲン取締役、飲食プロデューサー

子安 大輔1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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子安大輔=文
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夜は「ノンアル選択肢」がない!

先日、知人が「夜にお酒を飲まずに1人とか2人で健康的な食事をしたいと思っても、そういう店って、なかなかないものだよね」と、しみじみつぶやいていました。確かにアルコール抜きでの食事の場となると、すぐに思いつくのはファストフードやファミリーレストラン、ラーメン店や中華系の食堂、カフェやコーヒーショップなどでしょうか。

そこに栄養バランスの良さや塩分・脂肪分控えめなどの条件を加えていくと、残る候補は相当絞られてしまうかもしれません。そう考えると大戸屋に代表される食堂のチェーン店は貴重な存在であることも改めてわかります。

なぜこうした事態になっているのでしょうか。それはもちろん、多くの飲食店が夜の時間帯にはアルコールを出すことを前提に、商売を組み立てているからに他なりません。それはメニューの価格に反映されています。飲食店の原価率(売上に占める原材料費の割合)は30%が目安とされることが多いですが、アルコール類についてはそれを下回るものが多く存在します。特にハイボールや各種サワーなどは値付けによっては原価率が20%を割ることも多いでしょう。

トータルの原価率が30%だとすると、その内訳においてはドリンクの原価率が25%で、フードが35%のようになっていることが多いのです。そしてよく考えてみれば、多くの飲み物は注ぐだけなのに対して、食べ物は仕込みや調理の手間すなわち人件費が裏には隠れています。

つまり現状においては、飲食店は食べ物の採算性の悪さを、アルコールを中心とした飲み物で補っているというのが基本的な収益構造なのです。わかりやすく言えば、「酒を飲んでくれないと、店が成り立たない」というわけです。

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