『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』担当編集者
文藝春秋 スポーツ・グラフィック ナンバー編集部 藤森三奈

エディーさん(生島氏は親愛の情を込めて、ジョーンズ氏を「エディさん」と呼ぶ)はこの本の中で、選手にこう声を掛けたと言っている。

「驚かせるんだ。歴史を変えるんだ。日本代表が世界の舞台で結果を残せば、日本の文化は変わる」と。

私は最終ページでもう一度、このコメントを抜粋して五郎丸選手の写真とともに使った。4年間、1日5回というハードな練習を乗り越えて迎えるワールドカップの直前にこの本は書店に並ぶ。驚かせてほしい、その願いを編集者としてひっそりと込めた。

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9月19日、歴史は変わった。結果だけではなく内容までも驚かされるものだった。ワールドカップ前に本書を読んでいた人は、南アフリカ戦のあと、これは奇跡ではないと思ったはずだ。エディーさんがどれだけ入念に準備をしていたかが書かれているからだ。

まず着手したのは選手の性格を把握すること。個性に応じて接し方を変えた。そして、自分の戦略を選手に伝えるときには、「セールスマン」となり、信じてもらえるよう必死で売り込んだ。スクラム強化のために行った選手たちの意識改革。スタッツの活用により導き出されるパスとキックの黄金律。エディーさんは自分の描く最終形に向かって、やり残したことはない、というくらい完璧にマネージメントしたのだ。

発売後私のもとには、付き合いのあるサッカー監督やコーチから続々と「もう2度読んだ」「目が覚めるような思いをした」「ラグビー日本代表がやっていることは今後、日本のチームスポーツのトレンドになるだろう」などの感想が届いた。原稿を初めて読んだ際、これはきっとラグビー界を超えて、さらにはスポーツ界を超えてあらゆる組織のリーダーに響くものになるだろう、と感じた印象は、間違いなかったと確信した。

エディーさんが決して厳しいだけではなく、人間的な側面を持ち合わせていることも知ることができる。

『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』
ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話

[著]生島淳 [出版社]文藝春秋

ラグビーだけではなく、欧州のプロサッカーリーグ、NBAバスケットボール、NFLアメリカンフットボールなどのプロスポーツのコーチングを研究し、心理学、統計学などジャンルを超えてあらゆる知識を貪欲に採り入れ、「コーチングでいちばん重要なのは、選手に自信を持たせることだ」と語るジョーンズ氏の「勝つための哲学」を10時間以上にも及ぶインタビューから明らかに。

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