2015年10月1日(木)

「就活時期の繰り下げ」はなぜ失敗したのか

PRESIDENT 2015年10月19日号

著者
常見 陽平 つねみ・ようへい
千葉商科大学国際教養学部 専任講師

常見 陽平1974年生まれ。97年一橋大学商学部卒業、リクルート入社。玩具メーカー、人材コンサルティング会社を経て、2012年に独立。15年より現職。近著に『下積みは、あなたを裏切らない!』(マガジンハウス)、『「就活」と日本社会』(NHK出版)などがある。ニックネームは「若き老害」。

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千葉商科大学国際教養学部 専任講師 常見陽平=答える人
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「就活」の歴史とは時期論争の歴史

予想どおり、混乱してしまった。「就活(就職活動)」の長期化を是正するため、経団連は今年から選考開始を4カ月繰り下げ、「選考は8月から」という「指針」を出した。ところがその「指針」を破る企業が相次ぎ、実質的な就活は短くなるどころか、より長期化してしまった。

この「就活時期の繰り下げ」は安倍政権が2013年4月から447の経済団体に呼びかけて始まった[※1]。前年度までの就活は、事実上、大学3年生の12月から始まるため、大学生は勉強に専念できる時間が短くなっていた。就活のため海外留学を諦める学生が多いというのも理由だ。

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開始が遅れた2016年卒の「内定率」が急上昇中!

しかし、蓋をあけてみると、9月1日の時点で内定を持っている学生が78.1%(リクルートキャリア調べ)と、多くの企業がフライングを行っていることが明らかになった[※2]

こうした混乱を受けて、経団連の榊原定征会長は9月7日の会見で「会員企業への実態調査を行ったうえで、必要があれば、問題点について改善すべきは改善していきたい」と話し、「就活は8月から」という新指針を見直す可能性を示唆した。

ルール違反が横行したわけだが、見方を変えるとこれは政府や経済団体からの押し付けに対する企業の反乱だともいえる。企業にとってはルールを守るよりも、ルールを破ってフライングするほうが合理的なのだ。

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