学生は、「就職ナビ」に頼り、人気企業に一括応募することで、企業選びが雑になっている。企業社会を理解するため、1~2年生のうちにインターンシップに取り組んでほしい。学生があいまいなイメージに騙されず、業界・企業を理解し、納得のいく最初の一歩を踏み出すことが大事なポイントである。

大学は、学生を勉強に専念させたいのであれば、学生の負担を減らすために就職先の紹介・斡旋などに積極的に取り組むべきである。真っ当な単位認定が行われ、しっかりした力をもつ学生が輩出される実績があれば、企業はその大学を信用する。

最近では多くの企業が「ターゲット校」を設定し、重点的にアプローチする大学を選んでいる。「信用」の有無で、大学間の格差が開きつつある。

企業は、「オワハラ」などのルール違反を繰り返してはならない。早い時期から内定者を確保したいのであれば、リスクをとって大学1~2年生に内定を出せばいい。日本の判例では、企業による「内定取り消し」は重い責任を問われるが、学生による「内定辞退」は比較的自由だ。強い言葉で脅すのではなく、納得して入社してもらえるように自社の魅力を伝える努力をするべきだろう。

思うに、今回の「就活時期の繰り下げ」が混乱した原因は、タテマエの議論の連鎖だったからだ。こういう時こそ本音の議論が大切だ。企業も大学も学生も、タテマエを捨てて議論すべし。就活を嫌いになっても、新卒一括採用を嫌いにならないでください。いやあ、新卒一括採用って本当に素晴らしいものですね。

※1:安倍晋三首相は2013年4月、首相官邸で、経団連の米倉弘昌会長、経済同友会の長谷川閑史代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭(いずれも当時)と会談し、大学生の就活解禁を2016年卒から3カ月遅らせるように要請した。
※2:リクルートキャリア 就職みらい研究所が9月11日に発表した「就職内定状況(2016年卒、速報版)」による。集計対象は、モニター登録をした2016年卒業予定の男女6965人(大学生5823人/大学院生1142人)のうち、大学生 929人/大学院生385人。

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