なぜ、工作は最低限のものでOKか?

▼夏休みの宿題で教師が密かに重視していること

最後に、教師の立場から、夏休みの宿題において、最も大切なことについて述べて本稿を終わります。それは、ずばり「最低限必要な課題を全て提出する」ということです。繰り返します。「最低限必要な課題を全て提出する」です。

決して「素晴らしい作品を提出すること」ではありません。結果として、中にそういうものも入っていればいいという程度です。このあたりは、多くの親御さんが勘違いをしてしまいます。「きちんとした作品でなければならない」と。しかし、そんなことはありません。

夏休みの宿題の狙いの中心に「望ましい生活習慣の形成」があります。

平たく言えば「ダラダラ過ごさないように」ということです。それで、それなりに(!?)負荷のある宿題を出す訳です。しばしば植物などの「観察日記」を課題にするのはまさにそれで、「一気にやる」ことをよしとせず、継続的に取り組むことを求めています。

そこに「1学期の復習もしておいて欲しい」「1つくらい夏休みならではの活動をして欲しい」というように、元の狙いが派生してあのように多種多様な宿題が出ている訳です。

しかし、家庭にはそれぞれの事情があります。

お仕事などで毎日、家にいられないケースもあります。海外に行って豊かな体験活動をしてきた子どももいるかと思えば、兄や姉の受験があるからという理由でどこにも連れて行ってもらえなかったという子どもだっています。そういう事情も踏まえると、「遂行不可能な宿題」も現実にはあると思います。

ただ、宿題を出した側としては、堂々と「やってこなかった」という子どもは困ります。作品としてはそれほど見栄えのするものでなくても、子どもががんばってやってきたものならばいいのです(なので、あまりにも答えを丸写ししたのがバレバレなドリルなどは、指導せざるを得なくなり、困ります)。

親のできる最大のサポートは、まず宿題の内容を把握し、次に完成に必要なアドバイスをしてあげること。

立派でなくても、子どもが「自分でやり切った!」という達成感を持てるよう、時に一緒になってやったり、時に尻を叩いたりもしてやらせてあげてください。「ずるしちゃったなぁ」というマイナスの自覚が出る要因は、極力減らしましょう。

代わりに、「お父さん、お母さんの協力のお陰もあって、何とか自分でできた!」という自覚が持てれば最高です。それでこそ、親子にとって本当に意味のある夏休みの宿題になることでしょう。

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