2015年7月29日(水)

なぜ「バター不足」が繰り返されるのか

PRESIDENT 2015年8月17日号

著者
本間 正義 ほんま・まさよし
東京大学大学院農学生命科学研究科教授

本間 正義1951年生まれ。74年帯広畜産大学畜産学部卒業。76年東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。82年アイオワ州立大学大学院経済学研究科博士課程修了。2003年より現職。10年から12年まで日本農業経済学会会長。日本国際フォーラム政策委員。著書に『農業問題』(ちくま新書)などがある。

東京大学大学院農学生命科学研究科教授 本間正義=答える人 プレジデント編集部=構成
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牛乳の「計画経済」が輸入を制限している

バター不足が続いている。不足しているなら、輸入すればいいと思うかもしれない。しかし日本は酪農家を保護するという名目で、バターの輸入を制限している。解決のためには、日本の農業のあり方を根本から問い直す必要がある。

バターの国内消費はこの数年7万~8万トンで安定している。一方、国内生産は減少傾向で14年度には6.1万トンに落ち込んだ。不足分は輸入に頼るしかないが、関税が高く、政府の国家貿易品になっている。

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生乳以上に「バター」は減り続けている

乳製品の関税率(二次税率)は、従量税と従価税の組み合わせになっている。従価税換算ではバターが360%、脱脂粉乳が218%で、フレッシュチーズの29.8%、プロセスチーズの40%に比べても非常に高い。店頭で輸入のバターをみかけないのはこのためだ。

なぜバターが保護されているのか。それは輸入品の価格が国産バターの約3分の1と安く、品質での差別化は困難だからだ。政府は、TPP(環太平洋連携協定)交渉について、7月28日からハワイで開かれる12カ国の閣僚会合での合意を目指している。たとえばTPPの参加で乳製品の関税が引き下げられることがあれば、価格競争力のあるニュージーランドの製品が市場を席巻するだろう。

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