「生きづらさ」を生きる「アダルト・チルドレン」

教育熱心過ぎる親がつい子供を厳しく叱りすぎてしまったり、過度な期待を背負わせてしまったりということならよくある話。そのような場合、親の心がけ次第で、状況を変えていくことはできる。しかし「教育虐待」には一筋縄ではいかないケースもある。親が育った家庭環境に起因する、家族の機能不全が、根本に潜んでいる場合だ。

近著『追いつめる親 「あなたのため」は呪いの言葉』の中では、幼いころから母親による教育虐待を受け、大人になっても母親の支配から抜け出せず、27歳になってから自殺してしまった凜さん(仮名)という女性のケースを紹介している。凜さんの母親であるたえ子さん(仮名)の結婚以前の背景を聞くと、情緒的に安定した家庭に育ったわけではなかった。

たえ子さんは3人姉妹の長女だった。父親はいなかった。たえ子さんの母親は新興宗教にはまってしまい、子供を家に置いたまま1週間帰らないこともよくあった。幼いたえ子さんは、自分も子供なのに母親の代わりを担わなければならなかった。アルコール依存症などの母親に育てられた子供と同じだ。わがままを言ってみたり甘えてみたりという、子供としての本能が抑圧される。

依存的な親から依存されることに慣れてしまい、自らも「依存されている立場に依存」するようになる。依存してもらえないと不安になるのだ。このような人間関係を心理学用語では「共依存」と呼ぶ。そうして育った子供は俗に「アダルト・チルドレン」と呼ばれる。周りからは「いい子ね」と言われるが、心の中にはいつも得体の知れない「生きづらさ」を抱えている。たえ子さんはアダルト・チルドレンだった可能性が高い。