また、「ITツールを上手く仕事に使いこなせるようになった」という人も。5回分の宿泊研修ということで、それだけでも参加者は濃密な時間を過ごしたわけですが、各チームが最終プレゼンをまとめるためには、セッションとセッションの間も常に互いに連絡を取り合って、手分けしてデータを調べたり、プレゼン資料を作ったり、といったグループワークを続けていく必要がありました。といっても、美瑛町のメンバーと東京で働くメンバーとは物理的な距離があり、集まって作業を進めることができません。そこで、各チームとも、SNSやインターネットのビデオ会議、テキストチャットシステムなどを駆使して物理的距離を縮める工夫をしていました。中にはこのためにノートパソコンを買った人もいたようで「特にヤフーの方はIT技術に詳しく、様々なツールの使い方を教わった」といった声もありました。

「美瑛のことを真剣に考えてくれて嬉しかった」「この縁はこれからも大事にしていきたい」など思いを口にする参加者たち。

また、忙しい仕事の合間を縫ってプロジェクトに取り組む中で、「時間の使い方がうまくなった。研修が終わったら、空いた時間を資格の勉強に充てる」という人もいました。

しかし、なによりも大きいのは美瑛町の社会問題解決という大きな課題に全力で取り組んだ異業種の仲間ができたことです。参加者にとっても人事担当者にとっても、美瑛という北海道の小さな町が結んだ「ガチの社外縁」は、この先社会人として、そしてビジネスを率いるリーダーとして活躍していくうえで、大きな力となることでしょう。「異業種コラボで学ぶもの、得られるものが大きい、といわれても、わが社には異業種コラボ研修なんてないし……」と嘆く「次世代リーダー」の読者諸氏。あきらめてはいけません。まずは、今まで目を向けていなかった地域の活動に参加してみてはいかがでしょう。また、最近では本業でのスキルや経験、知識を活かして社会貢献をする「プロボノ」という選択肢もあります。今年は、「社外に一歩踏み出す年」にしてみませんか?

(構成=井上佐保子)
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