「利子」は一切つかない。だが……

『面と向かっては聞きにくいイスラム教徒への99の大疑問』佐々木良昭著 プレジデント社刊

メディナに聖遷(ヒジュラ)したイスラム教の預言者・ムハンマドは、その後、メッカ軍との戦闘を繰り返す。戦争をするためには鎧や武器を購入しなければならない。そこでユダヤ人からお金を借りたところ、その利子がひどく高かった。

「ひどすぎるではないか」ということで、コーランでは利子をとることを禁じたとされている。そのため、イスラム金融の世界では利子のやりとりはできないことになっている。

銀行にお金を預けたとしても、もちろん利子は一切つかない。日本のように、「年利○パーセント」などと明記することはあり得ないわけだ。

ただし、預金者が預けたお金を銀行が「事業者」に出資し、事業者がその資金を各種のプロジェクトや新商品開発事業などに投資した結果、事業利益が上がった場合は、あらかじめ定められた契約にしたがって出資者に利益を分配するのはOKだとされている。

つまり、あなたが銀行にお金を預けると、そのお金は事業者を通じてなんらかの事業に投資されることになる。それがうまくいった場合、預金額プラスアルファがあなたのものになるというわけだ。