「まあまあイケてる」が一番危険

「自分は“まあまあ”となんとなく安心している人。こういう人が、一番危ないです。残念ながら、ご自身がせっかく持っているポテンシャルやお人柄が他人には伝わっておらず、損をしている方が多いと思います。自分を“まあまあ”と思っている方には、自分は“まあまあ以下”の印象を与えているかもしれない、と考え直していただきたいです」

開口一番にこう切り出したのは、日本初のパーソナルスタイリスト、政近準子さん。政治家、アスリート、経営者、アーティスト、会社員と多種多様な1万人以上の顧客を持つ、その道の第一人者だ。

堂々とジャケットを脱げるか?

「大手町のビル街を歩くと、私はとてもガッカリします。あえて強い言い方をさせていただくと、男女問わず、あともう一歩という人ばかりだからです。そんな印象を与える人が素敵でしょうか。信頼されるでしょうか。実際は仕事をきちんとこなすビジネスパーソンだったとしても、服装がイマイチと相手に感じさせたら、第一印象は決して良くありません。どんなビジネスシーンでも、素敵な印象を与えるほうが得策なのは言うまでもありませんよね」

“まあまあ”と自負していても“まあまあ以下”になってしまうのは、中途半端な気持ちで服選びをしているために、見た目が底上げされていないからだ。

「スーツ、シャツ、ベルト、ネクタイ、靴。女性なら、ジャケット、ブラウス、スカート、パンツにパンプス。“まあ、これでいいだろう”という感覚で選んでいませんか。それは、本当の意味で選んだことにはなりません。自分に似合うもの、ふさわしいもの、なりたい自分に近づけてくれそうなもの。そういう視点がゼロの服選びは、選んでいないのと同じです」

“まあ、これでいいだろう”で選んだ服を着ると、どうなるか。

「雑な気持ちで手にとったアイテムの組み合わせは、結局、雑な組み合わせにしかならないんですよ。そして、雑な気持ちで選んだ服を着るとき、人は着こなしも雑になるのです。特にスーツにはきちんとしたルールがあります。あえてハズしているわけでもないのにルールが守られていない着こなし、流行からかけ離れたサイズ感、シワだらけのシャツ。そんなスーツ姿は、たとえスーツのルールをよく知らない相手にも、だらしがない、という印象を与えます。特にVゾーンに気をつけていただきたいですね」

さらに、“まあ、これでいいだろう”の服や着こなしは、仕事に対するスタンスもそんな程度かもしれない、という印象を与えかねない、と指摘する。

政近さんの言葉に、冷や汗をかいた人も少なくないのではないだろうか。でも、ご安心を。最低限ここをハズさなければ、“まあまあ以下”のレベルから確実に脱出できるハウツーをご紹介する。まずは男性編から。