増税の影響で同業他社が苦戦するなか、同社の2015年3月期第2四半期の連結決算は、過去最高益。度重なる危機をどのように乗り越えたのか。

投資家が期待を寄せる日本屈指の“不動産王”

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(上)事業内容は多岐にわたる(下) 代表的な3社の営業収益は?

14年4月23日、念願の上場を果たした西武ホールディングス(以下、西武HD)。株価は初値の1600円から、8月には2300円を超え、現在は2200円台を推移している。

対して、東急電鉄の株価が700円台、小田急電鉄が1000円台、阪急阪神ホールディングスが600円台、東武鉄道が500円台。こうした私鉄ライバル企業より、西武HDが非常に高い株価を維持し続けているのはなぜか。それは、西武HDが、単なる鉄道やホテル会社ではなく、日本一の不動産会社だからだ。

西武HDが保有する都内23区内の土地は約46万平方メートル。三菱地所の約33万平方メートル、住友不動産の約31万平方メートル、三井不動産の約25万平方メートルと比較しても断トツの広さだ。このほか、23区以外の都内に約4246万平方メートルの土地を保有しており、合計すると日本全国に1億3600万平方メートル以上。山手線内エリア2つ分を超える面積になる。

では、どれだけの企業価値があるのか。みずほ証券アナリストの鈴木克彦は西武HDの魅力を「広大な土地を持ち、その土地をバリューアップする新しい話題が上場後、次々に出てくること」だという。

「グランドプリンスホテル赤坂の新館跡地の再開発事業『紀尾井町プロジェクト』では、完成予定の2年も前に、ヤフージャパンがメーンテナントとして入居することが決まりました。普通は竣工に向けて、1年前から半年くらいに決まっていきますから、それだけでも非常にポジティブです。ほかに池袋本社ビル跡地、所沢駅前などの再開発が決まっていますし、決定事項ではありませんが、 としまえん(東京都練馬区の遊園地。西武鉄道子会社の豊島園に業務委託して運営)の土地を、東京都が買い上げる話があります。としまえんの敷地は推定20万平方メートルで、この評価額は600億円。簿価の132億円を控除すると468億円の売却益が見込まれます」

鉄道、ホテルに加え、莫大な広さの不動産。多くの可能性を秘めていることが、投資家の期待を誘っているのだと鈴木は見る。